トキワ松学園小学校

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〒152-0003 東京都目黒区碑文谷4-17-16
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スペシャル授業

「はりまや(播磨屋)!」―歌舞伎教室『連(れん)獅子(じし)』―

 本校では6年生になると、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室に行く。これは、日本の伝統芸能に親しみ、感性を育てることを目的としている。

 今回は、前日に、私なりの歌舞伎の見所について6年生の子どもたちに話した。シンプルだがきれいな舞台、花道や廻り舞台やすっぽんなどの仕掛け、絢爛豪華な衣装、演目によってはこの衣装を見るだけでも見ごたえがある。そして、歌舞伎役者の独特の化粧や視線(目力と言ってもよい)、表情。また、大向こうの掛け声のこと等。

 国立劇場の永田町には、満員の東横線と渋谷乗り換えの半蔵門線を乗り継いで行く。車中の6年生は周りの人に迷惑のかからない程度の子供らしいにぎやかさで、担任の先生方の事前の指導も行き届いているように感じた。

 国立劇場の前では、既にたくさんの高校生やら中学生が入場を待っている。座席は3階席の端の並び数列。1,2階席は中高生が占めていて、少し遠い感じもするが、全体を見下ろすような雰囲気はいい。

 第1部は「解説 歌舞伎のみかた」。役者さんが、高校生二人を舞台に上げて、実際に高校生にもまねさせて、わかりやすく解説をしてくれる。太鼓の音が風の音を表し、ツケ板に木を打ち付けて出される効果音は人の動きを強調することや、ポーズを決める〝見得〟、真っ黒な目に見えないものという約束の〝さしがね〟、不安な心をあらわす〝しの笛〟など、実物を使っての開設は楽しいものであった。

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 第2部はいよいよ長唄による舞踊演目の『連獅子』。舞台は清涼山。狂言師の右近〈中村又五郎〉と左近〈中村歌(か)昇(しょう)〉がこの山中にある不思議な石橋のことを語ることから始まる。そして、その山中に住む親子の獅子の‘子落とし’の故事を二人は演じてみせ、なにかに憑りつかれたように去っていく。やがて、舞台には修行にやってきた宗派の違う二人の僧が現れる。宗論を主張し合ううちに、太鼓や鉦でこの山に住む獅子を追い払おうとするが、ただならぬ雰囲気を恐れた僧たちが逃げ去ると、白毛の親獅子の精と赤毛の仔獅子の精が現れ、毛を振り乱して舞い遊ぶ。左右に振ったり、舞台に叩きつけたり、腰を軸にして鮮やかに回転させる数々の‘毛振り’は一番の見所である。

 イヤホンガイドを聞きながら、大方の6年生は歌舞伎の世界に見入っていたように思われる。そして獅子の精が出てきてから頻繁に掛かる掛け声「はりまや(播磨屋)!」の声も身近に聞くという幸運に恵まれた。播磨屋と言うのは実際にも親子である又五郎、歌昇の屋号だが、何と、いわゆる大向こうという常連客が子ども達の右斜め後ろから声を掛けていたのである。こんな間近でのことは、なかなか経験できるものではない。この臨場感はその時、その場でしか味わえない格別なものである。

 小学生のうちから本物に触れることは、とても大事なことである。ことに、日本人として、日本の豊かな古典芸能に触れることは、これから国際人として社会に活躍していくであろう、今の子ども達にとっても言うまでもなく大事なことである。

 英語が話せるだけでは真の国際人にはなれない。真の国際人とは、自国の文化を理解し、それを誇りにしながら、他の国の人達と活動したり、ビジネスをしたりして、それらを通して文化や心の交流ができる人に違いないと思う。 子ども達にはそういう国際人になってほしい。
 

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