トキワ松学園小学校

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スペシャル授業

「学校文集 『大空』第62号」 ―言葉の息遣い“自分にしか書けないものを”―

12月 19日:スペシャル授業

 今年度も文集『大空』が発行されました。小学校67年の歴史の中で、62年という歴史のある全校児童の文集です。子ども達は2学期の後半から作文にとりかかりましたが、学年によって、テーマが決められています。

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1年生が「学校大好き」でアスレチック、図書館、カフェテリアなど学校の好きな場所を選んで書いています。2年生は「心に残る行事」で、親子運動会や、学校宿泊、お餅つきなどの大きなものを選んでいます。3年生は「俳句と解説文」で3年生の思い出を俳句にして、さらに解説を入れるという少し難しいものに挑戦しています。4年生は「四コマ マンガ」で起承転結を意識して、物語風にしています。これも意外と難しいものです。5年生は「5年生の今、考えていること」。5年生なりに自分の意見や考えを入れて書いています。6年生は「小学校生活で得たこと・学んだこと」だが、具体的な出来事を基に、自分の内面を見つめて書いています。

きれいに印刷されているので、何回も書き直した消しゴムの跡や、文字の大小、濃淡は分かりませんが、どの子の作文にも一生懸命考えて書いたのであろう言葉の息遣いが感じられ、自分らしいものとなっています。

作文や、詩、短歌や俳句などを表現する時に大切なことはいろいろありますが、やはり、大事なことは、“自分にしか書けないものを表現しよう”ということでしょう。少しくらい、表現がたどたどしくても、短すぎても、そこに自分の表現があるかないかが肝心です。そこに、自分の存在と言うものがあると言ってもいいかもしれません。

さて、この『大空』の巻頭に私の拙文を載せています。横書きにして転載しましたので、ご覧いただければと思います。

 

 

黄金の釘(こがねのくぎ)

 ~おうちの人といっしょによんでください~

トキワ松学園小学校校長  栗林 明弘 

 

作文や詩、文章などがうまくなりたい。すらすらと文章が書けるようになりたい。みんなが感動するような美しい文章が書けたらなあ。それはだれしもが、思うことです。

日本は古くから神話や物語、漢詩(かんし)和歌(わか)(さか)んにつくられました。『古事記(こじき)』という最も古い歴史書の中の、因幡(いなば)の白ウサギの話やヤマタノオロチの話、また『竹取(たけとり)物語(ものがたり)』のかぐや(ひめ)の話も知っている人も多いでしょう。皆さんがかるた取りでやる百人一首に出てくる世界三大美人の一人である小野小町(おののこまち)や『百人一首』の歌を選んだ藤原(ふじわらの)定家(さだいえ)の時代は、五、七、五、七、七の和歌(短歌(たんか))が盛んな時代でした。和歌がうまくなるため神様にお願いしたり、自分の命と引きかえに和歌の上達を願った人もいました。その頃は、一番(えら)いとされた天皇(てんのう)の命令によって和歌の歌集が作られたくらいですから、大変盛んだったことがわかります。和歌を作っている人なら、だれでもその歌集に自分の和歌を入れてもらいたいと思いました。

ある外国人が、日本は詩(短歌や俳句も含めます)の国だと言っているのを聞いたことがあります。それは、今まで述べてきた昔のことだけを言っているのではありません。現在でも、新聞には一週間に一度、自分が作った短歌や俳句を()せてもらえる紙面(しめん)がありますし、テレビでも短歌や俳句の番組がいくつかあります。いろいろなところで、短歌や俳句のコンクールもやっています。みなさんも小学生新聞に自分の俳句(はいく)を載せてもらった人もいるでしょう。自分の書いた作文や俳句も、この『大空』と言う文集にも発表できているわけです。また、大人になっても、いろいろな雑誌などで俳句や短歌のコンクールをやっていますので、だれでも応募(おうぼ)することもできます。

そんな日本にいるみなさんですので、何か表現したいという気持ちがあれば、いくらでもみんなに発表することができます。これはとても幸せなことだと思います。ぜひ、自分の表現したいという気持ちを大事にして下さい。今、自分が表現できることを、たくさん表現してほしいと思います。今しか書けない文章、今しか作れない俳句や短歌があるのです。自分にしか表現できないものがきっとあります。この‘表現したい、今しか、自分にしか・・・’という気持ちこそが文章や、俳句などの表現活動が上手になるのに一番大切なことだと私は思います。そして、作品ができたら、ぜひ音読をしてみてください。声に出してみても、心地よい感じがしたらそれはおそらく、よい作品です。声に出して何かしっくりこないものがあったら、ぜひもう一度考え直してみてください。その時になんとか、よくしたいという気持ちを持ち続ければ、きっと、はっとするよい表現が見つかるはずです。

お嬢さんをトキワ松学園に通わせていたという、明治(めいじ)歌人(かじん)与謝野(やさの)晶子(あきこ)という人は、まさに自分にしか作れない短歌を作った人の一人ですが、こんな短歌を残しています。

(ごう)(しょ)よりつくりいとなむ殿堂(でんどう)に われも黄金(こがね)(くぎ)一つ打つ”

この歌は、はるか昔の世の初めから人々が造り(いとな)んできた芸術(げいじゅつ)文芸(ぶんげい)という立派(りっぱ)な建物に、いま自分も一つではあるが、自分にしか表現できないような、短歌と言う(かがや)く黄金の釘を打つのであるという意味です。晶子の熱く強い思いが伝わってきますね。

第62号となるこの『大空』も言わば、トキワ松学園小学校の作文の殿堂(立派な建物)です。みなさん、一人一人の作品が一つの釘となって、この歴史ある殿堂を造りあげているのです。すばらしいことですね。これからも、ぜひ、自分にしかできない‘黄金の釘’を打とうという気持ちをもって、作文や俳句だけでなく、音楽、図工、体育、その他のいろいろな表現をしてほしいと思います。

(平成三十年十二月)

 

 

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