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今日の朝礼の話2 ~おうちの人と読みましょう~
今日の朝礼の話2
~おうちの人と読みましょう~
校長 栗林 明弘
春眠といふ(う)深海にただよへ(え)り 鷹羽狩行
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中国の詩に「春眠暁を覚えず」という一節があります。春は気候がよくて寝心地がよく、夜が明けたのも気づかず、眠り込んでしまったという意味の詩の一節です。みなさんも春はいつもより眠いと感じたことがありませんか。そう言えば、昔のことですが、春のこの時期、先生に遅刻を注意されたある子が、その遅刻の理由として、この「春眠暁を覚えず」と答える場面をテレビのドラマで見たことがあります。この子は、春は中国の詩にもあるように、眠い季節なのだから遅刻しても許してくださいと言いたかったのでしょう。はたして、そのあと、その子は先生に許されたのか、かえって、しかられてしまったのか・・・、それについてはよく覚えていません。
さて、この句の作者はそんな春眠の雰囲気を、まるで深い海の中にただよっているような感じだと表したのです。深海は光の届かない、暗くて静かな海です。いかにもそんな感じがしませんか。この句は春の眠たさを、春の明るいイメージとは反対の、暗いイメージの深海にただよっていると表したところに、春の眠たさがかえって強まっていると思います。
みなさんなら、春の眠たさをどう表しますか。他の人が思いつかないような表現を考えてみてください。ちなみに、わたしは春眠という言葉を使って〝乗り越して春眠といふ(う)電車かな〟という俳句を作ったことがあります。ある春の朝のこと、学校へ向かう電車の中で、ついつい眠って降りる駅を乗り過ごしてしまったという様子の句ですが、その電車を、まるで春眠という名前の電車みたいだなと表したのが私の句です。電車の心地よい揺れが春の眠りを誘い、その電車に乗っている人がみんな春の眠りの中にいる、そんな様子も想像してみてください。
今、季節は春も深まっていますが、そろそろ夏の気配も感じられます。校庭の花や木の様子も、春そのものの感じと、夏の初めを思わせるようなものもあります。今、季節は春と夏が重なり合っているように見えます。みなさんは、なかなか、外に出られない状況ですが、家の周りから見える季節にも注意して見てください。きっと、なにかしらの発見があると思います。
ところで、2年生以上のみなさん、私からの俳句の課題は終わりましたか。次回は、そのことについてもお話をします。
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